対残菊、待寒月 残菊に対《むか》ひ、寒月《かんげつ》を待つ 〈于時閏十月十七日、 〈時に閏《うるう》十月十七日、 陪第九皇子詩亭。〉 第九皇子が詩亭に陪《はべ》る。〉
月初破却菊纔残 月 初めて破却《はきやく》し 菊纔《わづか》に残る 漁夫樵夫抑意難 漁夫樵夫《ぎよふ せうふ》すら 意《こころ》を抑《おさ》へ難《がた》し 況復詩人非俗物 況復《いは》んや 詩人の俗物に非《あら》ざるをや 夜深年暮泣相看 夜深《ふ》け年暮れて 泣きて相看《あひみ 》る
時期遅れの菊を前に冬の月が上るのを待つ 〈閏《うるう》十月十七日に、 第九皇子の詩亭に伺候《 しこう》した。〉
月は初めて欠け 菊はかろうじて咲き残る (この光景は)漁師や木こりでさえ (悲しい)気持ちをこらえ切れない まして (私達)詩人は俗人物ではない 夜もふけ 年も暮れ 泣きながら(月と菊を)眺める