山陰亭

原文解説口語訳

『菅家後集』489

白微霰  白くかすかなるあられ

如砕如粘取貌難  しは砕けしはねやかりて かたちを取ることかた
被風吹結雪相摶  風に吹き結ばれて 雪あひあつまる
〓牙米簸声声脆  のろの牙の米て 声々もろ
竜頷珠投顆顆寒  竜のあごたま投げて 顆々かか寒し
念仏山僧驚舎利  念仏の山僧は舎利かと驚き
名医道士怪鉛丸  名医の道士は鉛丸かと怪しぶ
袖中収拾慇懃見  袖のうちに収拾して慇懃いんぎんに見れば
応是為氷涙未乾  れは氷とれる涙の乾かざるなるべし

▼ 末尾へ▲ 先頭へ

口語訳

白く小さな霰

砕けたり粘りついたりと (雪は)なかなか形を取らない
(それが)風に吹き固められて 集ま(って霰とな)る
(霰の降る音は)のろの牙のような米粒を振るうように 軽やかで
竜のあごにある珠を投げつけるように 冷ややかだ
(霰を見て)念仏を唱える山僧は仏舎利ぶっしゃりかと驚き
医術に優れた道士は鉛丹の丸薬かといぶかしむ
(しかし)袖の中に集めて丁寧に見ると
これはきっと乾くことのない(私の)涙が氷となったものなのだ

▼ 末尾へ▲ 先頭へ


トップこのサイトについて3分で読む菅原道真みちざねっと・きっずFAQ読者アンケート
苦しい時の神頼み普通の人のための読書案内漢詩和歌快説講座作品一覧「研究文献目録」補遺

(C)1996-2024 Makiko TANIGUCHI. All rights reserved.
http://michiza.net/jcp/jcpkb489.shtml