山陰亭

原文|解説|口語訳

『菅家文草』04:253/『和漢朗詠集』01:195

新蝉  新たなる蝉《せみ》

新発一声最上枝  新たに一声を発《はつ》す 最上の枝
莫言泥伏遂無時  言ふ莫《なか》れ 泥に伏して遂《つひ》に時無《な》しと
今年異例腸先断  今年は例に異《こと》なり 腸《はらわた》 先《ま》づ断《た》ゆ
不是蝉悲客意悲  是《こ》れ 蝉の悲しぶにあらず 客意《かくい 》の悲しぶならん

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口語訳

新たに鳴き始めた蝉

新たに鳴き始めた 樹木の梢《こずえ》
言わないで欲しい 泥に隠れて とうとう時機を得ることがなかったとは
今年は例年と違い (鳴き声を聞くと)まっさきに悲痛な気分になる
これは蝉ではなく 旅人たる私が悲しいのだろう

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