山陰亭

原文|解説|口語訳

『菅家文草』06:444

敬奉和左大将軍  敬《つつ》しみて左大将軍が
扈従太上皇舟行  太上皇《たいじやうくわう》の舟行《しうかう》に扈従《こしよう》し
有感見寄之口号  感有《あ》りて寄せられし口号《こうがう》に和《わ》し奉《たてまつ》る
〈押韻〉     〈押韻〉

吟詩恰似奉舟行  吟詩《 ぎんし》 恰《あたか》も舟行《しうかう》に奉《ほう》ずるに似たり
不見従流自感情  流れに従ふを見ずとも 自《おのづか》らに情《こころ》を感ぜしむ
無限恩涯知止足  限り無《な》き恩涯《おんがい》に 止足《 しそく》を知る
何因渇望水心清  何に因《よ》りてか渇望《かつばう》せん 水心《すいしん》清きに

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口語訳

左大将《さだいしょう》(藤原時平)殿が
太上《だじょう》天皇(宇多上皇)陛下の船旅に随行し
感じ入って寄せられた口すさびの詩に謹《つつし》んで唱和《しょうわ》し申し上げる
〈押韻〉

(あなたの)詩を口ずさむと まるで(私も)船旅に随行した気分になります
川の流れに任せるさまを目にしなくても おのずと心が動きます
(帝の)果てなき御恩に (私は)身の程をわきまえております
どうして切望しましょうか 水面の中央は澄んでおりますのに

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