山陰亭

原文|解説|口語訳

『菅家後集』489

白微霰  白く微《かす》かなる霰《あられ》

如砕如粘取貌難  如《も》しは砕け如《も》しは粘《ねやか》りて 貌《かたち》を取ること難《かた》し
被風吹結雪相摶  風に吹き結ばれて 雪相《あひ》摶《あつ》まる
〓牙米簸声声脆  〓《のろ》の牙の米簸《ひ》て 声々脆《もろ》し
竜頷珠投顆顆寒  竜の頷《あご》の珠《たま》投げて 顆々《かか》寒し
念仏山僧驚舎利  念仏の山僧は舎利かと驚き
名医道士怪鉛丸  名医の道士は鉛丸かと怪しぶ
袖中収拾慇懃見  袖の中《うち》に収拾して慇懃《いんぎん》に見れば
応是為氷涙未乾  是《こ》れは氷と為《な》れる涙の乾かざるなるべし

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口語訳

白く小さな霰

砕けたり粘りついたりと (雪は)なかなか形を取らない
(それが)風に吹き固められて 集ま(って霰とな)る
(霰の降る音は)のろの牙のような米粒を振るうように 軽やかで
竜のあごにある珠を投げつけるように 冷ややかだ
(霰を見て)念仏を唱える山僧は仏舎利《ぶっしゃり》かと驚き
医術に優れた道士は鉛丹の丸薬かといぶかしむ
(しかし)袖の中に集めて丁寧に見ると
これはきっと乾くことのない(私の)涙が氷となったものなのだ

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